埼玉県の森林 | 森林の種類 | 森林の機能 | 森林の適切な管理 | コスト削減への取組み | みどりと川の再生 | 木材の新たな利用方法

埼玉県の森林

平成22年度 埼玉県農林部 森づくり課【埼玉の森林・林業について】より

埼玉県の土地

 埼玉県は都心から100km圏内に位置し、南北に約52km、東西に約103kmあります。
 県土面積は38万haで全国39位、森林面積は12万2千haで県土面積の約32%を占めていますが、森林面積は全国41位、日本の森林面積のわずか0.5%しかありません。

森林の現状

 森林の区分は主に気温と降水量の条件で決まります。
 平地林は県東部に広がり、クヌギやコナラ林やシイ・カシなどの冬になっても葉が枯れない常緑照葉樹林が見られます。(標高100m以下)
 丘陵林は県中央部に広がり、クヌギやコナラ林、スギ・ヒノキの植林地などが見られます。(標高100m~300m)
 山地林、奥地林は県西部、秩父地域に広がり、天然林のほか、終戦後に植林されたスギ・ヒノキ林が多く見られます。(標高300m~1600m)
 大里用水の水源地は荒川源流である奥地林になります。

市町村別の森林率

 埼玉県の森林の分布図です。濃い緑色の部分は国有林です。
 市町村別の森林率では、秩父地方では80%を超え、平地部では10%以下となっています。


森林の種類

平成22年度 埼玉県農林部 森づくり課【埼玉の森林・林業について】より


奥地林 ~手つかずの原生林が残る~

 奥地林ではまだ手つかずの原生林が残っています。

山地林 ~木材生産の中心~

 山地林は木材生産の中心地となっています。
 山地林では高性能林業機械(一つの機械で複数の作業ができる)と呼ばれる機械を活用した森林整備も行われています。

林種別の森林面積

 林種別の森林面積の約半分が、人の手によって植えられた人工林です。
 樹種別の森林面積の割合では、広葉樹林が43%と最も多く、次いでスギの33%、ヒノキの16%、マツ類の5%という順になっています。

森林面積及び蓄積の推移

 埼玉県ではS52(1977)からH19(2007)30年間で、約8,000haの森林が減少し、そのうちの約6,000haは平地林です。
 しかし、成長のよいスギやヒノキを多く植えたので、資源(木材)量自体は増えています。

民有林人工林の林齢別面積

 埼玉県では46年生以上の森林が58%を占めており、高齢級化しつつあります。
 46年生以上の森林は、木材利用として十分可能な材となるのですが、安価な外国産材の輸入量の増加やそれに伴う木材価格の低迷、人件費の高騰、鉄・アルミ・プラスチックなどの代替などにより、木材需要が下がり、伐採されないままの状態となっています。
 ただし、森林を「資源」としてとらえた場合は、充実してきているといえます。

埼玉県の公益的機能評価額

 公益的機能評価額とは森林が全く無く、その役割を貨幣価値として置き換えた場合の試算額です。
 (代替法:ある環境サービスをそれと同程度のサービスを提供する財の価格で代替して評価する方法)
 評価額は、年4,572億円となります。そのうち最も評価額が大きい機能は水源かん養機能で2,051億円です。
 水源のかん養機能とは、主に洪水緩和機能、水量調節機能、水質浄化機能の3つの働きのことです。
 ※そこに生きる生物や、文化、風景は、お金には換えられない貴重なものであるため、貨幣換算していません。


森林の機能

平成22年度 埼玉県農林部 森づくり課【埼玉の森林・林業について】より


森林の地球温暖化防止効果

 京都議定書とは、地球温暖化防止のために先進国全体で温室効果ガスの排出量を1990年レベルに比べて5%削減することを約束したものです。これは国際約束であり、もし目標が達成されない場合は、超過分の1.3倍分を次期削減目標に上乗せしなければならになどのペナルティがあります。
 森林は、二酸化炭素の削減量6%のうち3.8%を吸収することができるとされています。
※森林の吸収によるものができる行為とは以下の3つになります。
 (1) 過去50年森林でない所に植林
 (2) 1990年時点で森林でない所に植林
 (3) 持続可能な方法で森林経営を行っている森林
 人間1人が呼吸により排出するCO2は年間320kg、これを吸収するにはスギ23本が必要となります。
 また、スギ人工林では80年生でha当たり620t、ブナ等の天然林では同じく80年生で370tの二酸化炭素を吸収・貯蔵します。

木材の地球温暖化防止効果

木材には3つの温暖化防止効果があります。

1 貯蔵効果(木材・木製品に炭素を貯蔵)

(例)10.5cm角、長さ3m、スギの柱
    → 二酸化炭素22kg分の炭素を貯蔵
   120m²の2階建て木造住宅(約23m3の木材使用)
    → 二酸化炭素18t分の炭素を貯蔵

2 省エネ効果(非木質原料を代替することによる二酸化炭素排出削減)

(例)1m3当たりの製造時二酸化炭素排出量
    人工乾燥材  0.4t/m3
    鋼材     19.5t/m3 (人工乾燥材の 53倍)
    アルミニウム 80.7t/m3 (人工乾燥材の220倍)

3 エネルギー代替効果

  (木材をエネルギー源にするなど化石燃料中の炭素を放出しない)
(例)バイオマス発電等により、未利用の木材などのエネルギーを利用



森林の適切な管理

平成22年度 埼玉県農林部 森づくり課【埼玉の森林・林業について】より


森林の循環利用

森林・木材を再生可能な資源とするためには、以下のような山の手入れ作業が必要になります。
1.下刈り…伐採した後、植え付けを行い、その後5~6年間、年1~2回、植栽木が雑草木に被圧されないようにするため、雑草木を刈り払う作業
2.除伐…植林地内に侵入した植林木以外の木を伐る作業
3.枝打ち…節の少ない商品価値の高い材を造る作業
4.間伐…込みすぎた森林を適切な密度に導くために、間引く作業
※とくに間伐は、間伐材が資源となるほか、良好な木材生産のために必要な作業です。

間伐の必要な森林

 間伐が遅れると、林内は暗くなり下草が生えなくなります。そうなると表土が雨水により流出しやすくなり、その結果根が表れてきます。
 また込みすぎると、枝が広がりにくくなり、(樹冠が貧弱になり)幹が細長くなります。こうなると重心が高くなるため、雪害や風害に対して弱い森林となってしまいます。

間伐の推進

 埼玉県では、森林を健全な状態で維持管理するために間伐を推進しています。
 手入れの遅れている森林を早急に整備するため、平成14年度からは年間3,000haに拡大して間伐を行い、平成17年度からは年間2,200ha間伐を実施しています。

新たな間伐の取組

 従来の間伐に加え、技術の少ない人でもできる「巻き枯らし間伐」や、より収入に結びつく「列状間伐」なども行われてきています。
 巻き枯らし間伐…樹皮を一部剥ぐだけの作業。これにより木は次第に立枯れてしまいます。
 列状間伐…2列おき又は3列おきに斜面方向に沿って機械的に間伐する方法。生産性の向上と費用の縮減が図られます。
※従来の間伐は、選木・伐倒・集材にそれぞれ経験と高度な技術が必要でした。

管理されている人工林

 管理された人工林の中は明るくなり、下草が地表を覆うことで、土砂の流出をおさえ、生物多様性にも役立つ森林になります。


コスト削減への取組み

平成22年度 埼玉県農林部 森づくり課【埼玉の森林・林業について】より


低コスト林業

 従来の作業を見直し、資源を有効に使うため、生産コストの低減に取り組んでいます。
 従来の方法ではm3当たり11,000円かかりますが、H21年度のスギの原木丸太(中目材)の市場価格が10,100円/m3(ヒノキ20,000円/m3)なので伐採・搬出経費だけで、採算が合わない状況です。
 しかし路網の整備を行って高性能林業機械を導入した場合だと搬出m3当たり6,000円まで削減することができます。
 コスト縮減のためには、路網の整備と高性能林業機械の導入を推進することが今後の重要な課題となっています。

路網の整備

○森林管理道(埼玉県では林道のことを森林管理道といっています。)は、森林整備や低コスト林業を目指すためには必要不可欠なものです。 ○また、森林管理道は、災害時の迂回路や、山村の生活道としての役割も担っています。
○しかし、埼玉県も含め、日本では他国と比べ地形が急峻なことなどが原因で、あまり路網整備が進んでいません。
○日本の路網密度は、ha当たり17mしかありませんが、ドイツでは118m、オーストラリアでも89mあり、路網の整備に以前から力を入れています。
○現在、我が国では昨年12月に「森林・林業再生プラン」を策定し、今後10年間で路網密度をha当たり100mにすることを目標に掲げています。
(埼玉県の林道の延長950km。これを1,547kmまで延ばすと公道等を含めた林内の路網密度は25m/haとなり、高性能林業機械を利用した作業に必要な密度が確保される。

 森林管理道(埼玉県では林道のことを森林管理道といっています。)は、森林整備や低コスト林業を目指すためには必要不可欠なものです。
 また、森林管理道は、災害時の迂回路や、山村の生活道としての役割も担っています。しかし、埼玉県も含め、日本では他国と比べ地形が急峻なことなどが原因で、あまり路網整備が進んでいません。
 日本の路網密度は、ha当たり17mしかありませんが、ドイツでは118m、オーストラリアでも89mあり、路網の整備に以前から力を入れています。
 現在、我が国では昨年12月に「森林・林業再生プラン」を策定し、今後10年間で路網密度をha当たり100mにすることを目標に掲げています。
※埼玉県の林道の延長950km。これを1,547kmまで延ばすと公道等を含めた林内の路網密度は25m/haとなり、高性能林業機械を利用した作業に必要な密度が確保されます。

高性能林業機械の導入

○高性能林業機械とは、1つの機械で複数の作業を行う林業機械のことです。

低コスト造林

 伐採跡をそのままにしていては、循環資源にならないため、育てる工夫も必要になってきています。このため、造林コストもこのように効率のよい作業方法に転換を進めています。
 しかし、林業は農業と違い生育結果に時間がかかり、成果をみるまでが大変です。

低コスト造林のモデル

 1 植栽本数の減  3,000本/ha→2,000本/ha
 2 下刈りの見直し  全刈   → 筋刈
 3 枝打ち回数減   3回  → 2回
 4 低コスト間伐の実施 
       選木・伐倒する間伐→巻き枯らし間伐等

 経費    300万円/ha → 160万円/ha 



みどりと川の再生

平成22年度 埼玉県農林部 森づくり課【埼玉の森林・林業について】より


彩の国みどりの基金

 知事の3大公約のひとつに「みどりと川の再生」が掲げられ、それを受けて平成20年度に「彩の国みどりの基金」が創設されました。  

彩の国みどりの基金活用事業

 埼玉県森づくり課では、彩の国みどりの基金を活用して、水源地域の森づくり事業をはじめ、森林の再生に取り組んでいます。    

<水源地域の森づくり事業>

 大里用水の水源である荒川の源流を中心に、6つのダム上流域の森林所有者の負担のみでは管理の難しい森林について手入れを行っています。
 ダムの水源となっている森林では、今後、手入れがあまりかからないよう強度な間伐やブナ、ミズナラ、ヤマザクラなどの広葉樹の植栽などを行っています。
 強度な間伐を行うことにより、林内には多くの光を入り下草や広葉樹の成長を促します。やがては針葉樹と広葉樹が混じりあった森林(針広混交林)に成長します。
 針広混交林の土は、ふかふかで厚みがあり多くの水を貯えるだけでなく、木の根は深く広がって地表がくずれるのを防ぎます。
※平成21年度の実績 針広混交林造成551ha、広葉樹造成31haを整備
※全体計画:針広混交林造成1,900ha、広葉樹植栽115ha、広葉樹林内整理24ha 計2,039ha


<広葉樹植栽・獣害防護柵>

 広葉樹の植栽にあたっては、苗木の成長芽や樹皮がシカのエサになってしまうことから食害対策が場所によっては必要になります。
 県ではシカの食害対策のため防護柵の設置を進めています。  

 

<ボランティアによる森林整備>

一般県民の森林に対する意識の高まり、企業の社会貢献への投資により都市部に近い山林へボランティアが力を貸してくれるようになりました。

参加する企業・団体数 (平成21年度末)
企業51
ボランティア団体55計106団体

木材の新たな利用方法

平成22年度 埼玉県農林部 森づくり課【埼玉の森林・林業について】より


県産木材の利用拡大

 県産木材の利用拡大も図るため、流通加工施設の整備や木の良さをPRしたり、木質バイオマスの利用の促進を進めています。  

<利用例1>
家具や住宅に利用するなど従来どおりの利用方法のほかにも、木材には様々な利用方法があります。
<利用例2>
昔のように学校の教室を木材で内装化技術の進歩で、大型施設にも利用が可能  

<利用例3>
木質ペレットを燃料とした機械も開発されています。
ペレットストーブは県内で200台ほど設置されています。(1台30万〜40万円)